ドイツ×メキシコ戦の分析

ブログはじめてみたんやけど最初何書こかまよてたらドイツメキシコ戦が面白すぎたからそれに関する分析をオンライン上のグループで分析したものをまとめた上で加筆して記事っぽく書いてみた。








 ワールドカップロシア大会が始まり早くもグループリーグの全試合が終わろうとしている中、今大会の中で暫定1,2位を争う好ゲームであり戦術的観点から言っても非常に興味深い試合だったと思われるドイツ×メキシコ戦についてまとめてみることにする。

なおこの分析に関してはオンライン上でサッカーの戦術に関する勉強・ディスカッションを行っていこうといった趣旨の総勢8人のグループで分析・検証されたものである。


 

 ・試合の結果ドイツ0-1メキシコ



 この結果に驚いた方もいるだろう。

いや、結果というよりはその内容に驚いたといった方が正しいかもしれない。

ドイツはメキシコの計算されたカウンターに幾度となくゴールを脅かされ、攻め手にも欠き結果としてそのカウンターの内の1本に沈んだ。


 

恐らくテレビで見ていた人の疑問は

「なぜドイツはそんなにもカウンターをくらってしまったのか?」

という点だろう。

ではそれについて順を追って説明していくことにしよう。

 



まず最初に2チームのフォーメーションを見ていくと


ドイツ 4-2-3-1

メキシコ4-3-3

 

といった布陣で特に変わった様子は見られない。

 

試合が始まってもドイツはいつものようにボールを保持しビルドアップを試みた。

しかしこの「いつものように」といった部分がドイツがやられてしまった1つのポイントであった。

 

 


ドイツに限らずほとんどの国には

「ゲームモデル」がある。

対戦相手のサッカーに合わせて作戦を練るゲームプランとは違い、自分たちはどのようなサッカーをしたいかという1番最初の大きな部分の枠組みと考えてもらえばいいかもしれない。



そのゲームモデルがチームで共通認識されていればいるほどチームとしての組織力は高いといえる。ドイツはその点が非常に整備されていたチームだったが整備され行き届いていたがゆえにそのゲームモデルの弱点を徹底的に分析されたメキシコにやられてしまったのだ。




ちなみに日本には2か月前の監督交代でゲームモデルもへったくれもないので相手チームとしてはチームの地力で戦うしかなくなってしまっている部分があるように思われる。

そうなってくると個々の能力では特に攻撃陣は質の高い選手がそろっているのでセネガル戦も善戦できたのだろうと思うがそれはいったん置いといて、、

 




・ドイツの決め事

ゲームモデルの話をしたが、選手たちにはそのゲームモデルに基づいたプレーが求められる。例えば、ボールロスト時にはどう動くのか、ビルドアップ時はどこから作っていくのかなど

ではドイツはどのような原則があったのか。

グループ内でまとめてもらったものの中からいくつか抽出してみる

 




守備

・アンカーに対してどちらかのボランチが1列前へ

自陣に侵入された時点で撤退→撤退後は2ラインでブロック形成

・中央からの追い出し

 


ネガティブトランジション(攻→守への切り替え)

・ゲーゲンプレス

・全員が前方向へのベクトルでプレッシング

 


ポジティブトランジション(守→攻への切り替え)

・相手陣内でのショートカウンター

ミュラーやドラクスラーのハーフスペース侵入

レイオフ・カーテン・パラレラで速攻

 


攻撃

・クロース+両CBはSBにつけるパスor降りてきたヴェルナーへの縦パスorキミッヒへのサイドチェンジ

・両SBは相手のSHとSB間へ。クロースは左CBSB間へ

エジルはライン間で縦パスを引き出す

 

・ドイツの動線と狙いのスペース等


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黄色が選手の動き。赤が基本的なビルドアップ。黒円が狙いのスペース。紫がビルドアップ時によく作られるひし形。

 






ここまではドイツに関してみてきたが、では具体的にメキシコはどのような対策をしたのか。いくつかキーワードを挙げてみる。

 

・ライン間とハーフスペースを圧縮して守り、中央を閉め、サイドに追い出す。


フンメルスとクロースにマンマークボアテングにはフリーで持たせる


・キミッヒの裏を狙う


エルナンデスCBの裏にポジションをとり、オンサイドに入るとフンメルスの前(ライン間)でサイドにはたく


中央を閉めつつも右サイドに寄せて囲い込む

 


※ハーフスペースとはピッチを縦に5分割した2番目と4番目のレーンのことで最近研究されているスペースのことやけどそれについてはまた今度

 

 

 

どういうことかというと

ビルドアップ時に大きな脅威となるフンメルスとクロースをマンマークすることにより、ボアテングのサイドから攻めさして右SBのキミッヒを上がらせる。

中央は圧縮して守っているのでドイツは中央で中々作れずサイドに追い出される。

その時キミッヒはサポートをしに上がり続けざるを得ない状況になる

 




また、それと同時にケディラは彼の特徴上、上がっていってチャンスを作るような選手なのでネガティブトランジション時の対応が遅れるというポイントがある。

更に言うとドイツはボールロスト時には即時奪回するという原則がある。


 


これらを踏まえると、

ドイツの左サイドを封じることで右サイドにサイドチェンジをさせる。

これがメキシコのプレスのスイッチとなりキミッヒの上がった右サイドで囲い込んで奪ってしまう。



ドイツは即時奪回を試みるがそのファーストディフェンダーをかわしてしまえば、キミッヒはサポートのためポジションを上げているのでその裏を狙えばたちまちあの高速カウンターに移れるというわけだ。



そしてエルナンデスにボールを預けるとドイツのCBをつり出せるのでますますカウンターが効果的になっていく。またケディラは本来いないといけない位置にいない(ポジションを上げてしまっているため)のでドイツとしては最初の段階から手薄な状態でカウンターを受ける厳しい状況であった。

 


「右に誘導すればケディラは上がってしまうやろ。上がったらカウンターのスペースつくれるやろ。」といった部分まで計算の内だったのかはメキシコしか知らないがケディラの特徴をまんまと逆手に取られたことは事実だろう。

 





そして、グループ内で「メキシコ右サイドのラジュンはメキシコの戦術において重要なタスクを与えられてたのでは?」という話になり、90分間ラジュンだけを見てくれた強者のまとめを抽出してみる。

 


「前半から後半20分くらいまではマッチアップのプラッテンハルトが上がってるか否かでポジションを変える。

どういうことかというとプラッテンハルトがポジションを下げてる時はその近くに立ちカウンター要因になるが、ポジションを上げてる時はカウンターにすら参加していなかった。

またドイツのビルドアップはメキシコのプランによりほぼメキシコから見てサイドからだったので逆サイドに当たるラジュンは味方のSBの前に立ちスペースを埋めるというタスクも与えられていた。

後半20分以降からはメキシコが5-4-1のフォーメーションになるとプラッテンハルト依存の守備ではなくゾーン的な対応をとる。

ラジュンはカウンターに参加後も非常に戻りが速くて上がった裏を狙われて危険なシーンになるという場面はほぼ見られなかった。監督としては90分間走り続けれる力は残っているという計算が立つプレーヤーだったと思われる。」

 





これを見てわかるようにメキシコはクロース、フンメルスに加えてプラッテンハルトにもマンマークで付いていたのである。

つまり、左右で非対称な守備を行っていたといえるのである。

そのような守備からのカウンターを行っていたので相当な分析をして計算されつくしたカウンターだったということがうかがえる。

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とゆう感じで簡潔にまとめたつもりやったけど普通に3000字超えてた笑


*分析を一緒に行ったグループはやまザル会という名前で活動してて、ツイッターでも活動してはるやまザルこと山口さんが作ったのでやまザル会です